奨励賞
●インテリアデザイン学科 尾田 圭輔(北海道留萌高校出身)
日帰り入浴温泉「めぐり湯」
コンセプト
戦後、各家庭に内風呂が無く毎日のように通っていた公衆浴場には、家族や近所の人々の声で溢れていた。人々が裸で共有する浴場内では、服装や髪型などによるヒエラルキーが無くなり、日常では得られない社会教育の場になる。しかし、個々で癒され楽しむ場となった現代の公衆浴場ではコミュニケーションが薄れている。そこで、初めてコミュニケーションの場を設けた江戸時代の公衆浴場の再現により、会話の溢れる公衆浴場へとする。
審査評
銭湯は、地域の界隈性、地域交流の場として複合的な役割をしてきた。というのが彼のテーマである。現在、スーパー浴場、日帰り温泉などが広く受け入れられ、多くの市民が利用している。しかし、そこには日本人が昔から親しんできた、地域のコミュニケーションがかけつつあるというのが彼の意見である。裸になる場所は、社会的ヒエラルキーも、職業、や学歴の差も消え去り、まさに人と人が裸で会える貴重な場所である、そこが世代を超えて会話を交わす空間としてよみがえることが、現代社会の地域交流も失われてきている都市生活者にとって、重要な場としたい。そこでは、昔の子供たちのように、風呂場遊びや、子供の公衆マナーの教育など大人と子供、老人と子供、若者と大人がそれぞれの社会感でコミュニケーションを取れるように、種類の違う浴槽を配置した計画を立てた。ひねりや、異訳を加えない彼のアプローチは素直すぎる表現の中に、近代建築と伝統的姿を融合させようとしたものである。多少、観念的なプレゼンテーションが、彼のきめ細かな空間計画を阻害をしている感がるが、背景にある、多くのメッセージが評価され、そのまじめな作品に相応しくこの賞を獲得した。